タイと日本の経理のモチベーションの違い

「タイ企業の経理スタッフは『支払わないこと』が褒められる」という話をよく耳にします。
タイ企業によっては「支払い延期の目標日数」があるというような話もよく耳にします。
例えば、「なんとかして支払期日から更に90日以上払わないように頑張れ」というような社内的な指示がある、ということです。

日本では経理が本来支払われるべき支払いをしていないと間違いなく叱責の対象になると思いますが、タイではそれが逆だということになります。
タイにおいては、支払いを延ばせば延ばすほど社内的に評価されるような文化が醸成されているということになります。

この話を初めて聞いた日本人が最初に疑問に思うのは次の内容だと思います。

「そんなことをして相手と関係が悪くならないか?」

もちろん、関係は悪くなります。しかし、関係が悪くなれば他の企業から購入すればいいし、他の企業から購入することに決めた後の支払いもしないでおこう、と考えたりする人達が非常に多いです。
購入に至るまでに、様々な業者と交渉してやっといい業者を見つけた経緯があることは全く意に介さない様子なのはどうしてだろうかと思います。
信頼できる相手と末永くビジネスを行っていく、という考え方自体が日本的なのかも知れません。
いずれにせよ、それでも払わないのが一部のタイ企業です。

日本においても、支払い条件の交渉は一般的なトピックスです。支払期日が先延ばしになればなるほど、購入者としてはお得です。
購入者としては30日後の支払いを60日にしたいですし、販売者はなるべく即金でもらえればそれに越したことはありません。
しかし、いくら激しい交渉をしたとしても、日本においては「30日後に支払い」ということに双方が納得して契約を行えば、ほぼ間違いなくその支払いは行われます。

ところが、タイでは全くそのようにはいきません。
60日後の支払いで、と強く交渉されそれをなんとか30日でということで契約を取り付けることができ、先に製品やサービスを納入し、30日後に当たり前のように支払いがありません。こんなことならそもそも最初の交渉はなんだったんだという気持ちになることも多いです。

日本の経理は「ミス無く支払いを行う」つまり「いかにしっかりと支払うか」を目標(日本の場合、目標というよりもそれはできて当たり前とされていますね)としていることと比較して、タイの経理は「いかに支払わないか」を目標としていますので、その点をよく理解した上で債権回収を行うことが大事です。
どのようにすれば支払ってもらえるのかということはまたの機会に説明させていただきたいとして、まずは、そもそもタイにおいては経理の目標、モチベーション、考え方が違うのだということを理解してもらえれば幸いです。