債権者側営業担当者による債権回収妨害

タイで債権回収代行を行っていると、債権者(依頼者)側企業の営業担当者による債権回収妨害に直面することがよくあります。本来、自社の債権回収のために我々に協力するべき営業担当が、自社の債権回収の妨害行為を積極的に、または消極的(に見えるように)妨害を行ってくるということです。
基本的にはなにかひとつの原因が妨害行為を誘発しているというよりは、様々な原因がからまりあったうえで、妨害行為として発現していることが多いのですが、よくある原因をまとめると大きく以下のパターンにわけられると考えます。

1.営業のKPIが「売上」のみに依存しており、「回収額」は評価対象となっていない
条件として必ずセットとなるものに「契約継続中」であることがあげられます。また、多くの場合セットとなる条件は「回収は違う部署で行う」ことがあげられます。
社内的に評価対象となるものが「売上」のみで、実際の回収額、回収率は一切考慮されていない場合、契約継続中の案件はたとえそれが赤字を生み出していたり、製品やサービスの無償提供になっていたとしても営業にとっては「良い評価」となります。そして、その「良い評価」でコミッション、またはボーナス額の変動があります。
このようなケースにおいて、我々が「製品やサービスの提供停止」を武器に戦うことになることも当然あります。つまり我々が債権回収について回収を行うと契約が終了になることがありますので、それを避けるために「連絡先を含む情報を渡さない」「我々からの質問に回答しない」などの債権回収妨害行為を行うことがよくあります。
このケースにおいては、将来的な再発を防ぐためにはKPIの変更が必要となります。

2.営業がなんらかの不正行為を行っている
例えば、貴社の社内の方針として「未払いがあっても裁判はしない」というものがあったとします。それを知っている営業が「代金は10%個人に支払ってくれればそれでいい」というように相手方と話をつけているというケースがあります。この場合においても営業はなんとかして我々から債務者へと連絡させないように妨害行為を行います。また、このケースにおいてよく見られるのは「強引に進めるとすぐに退職して逃げる」というものです。
また、このケースはある意味では「未回収債権は存在しない」とも考えられますし、当該社員への処罰、再発生防止のためのルールの策定なども必要となります。

3.単純に仕事が増えるのが嫌
上記1、2のケースにおいては妨害はどちらかというと積極的なものになりますが、3はただ単純に自分の仕事が増えるのが嫌なので協力しない、というケースです。電話は何回かに一回出ますし、メールはたまに返信がありますが、依頼事項は何も進みません。
ただし、タイにおいては日本以上に職務内容が限定的であることが一般的で、実際に「契約上手伝う義務はない」ということもあります。このケースにおいては我々からの依頼は無視されるとしても、貴社内の権力者からプッシュすればすぐに動く場合が多いです。

一般的に、タイ人は日本人以上に権力者に弱い、相手を見て態度を変えるという特質があります。
上司やオーナーからの指示にはすぐ対応するものの、我々のような外部の人間は気持ちいいぐらい無視するようなスタッフも多いです。
このコラムにおいて「タイ人はこうだからダメだ」ということは言及しませんが、回収を成功させるために、依頼者側の協力が必要であるということはよく理解しておいていただきたいと思います。