払ったり払わなかったりを繰り返し、一部の債権の支払いを逃れようとするケース

タイでよくある未払いのケースのひとつを紹介します。

債務者一社に対して複数の案件がある場合や、継続的(毎月)支払い義務が発生するようなケースにおいて、債務者が支払いをしたり、しなかったりを故意に繰り返すことにより、結果的に一部の債権を有耶無耶にして支払いを行わないケースがタイでは非常に多く見られます。

「故意」と言う言葉をつかいましたが、実際には「故意」であるのか「過失」であるのかは分かりませんが、債権者側から督促を行なっても未回収がクリアにならないようなケースはほぼ故意であると考えて間違いないと我々は見ています。もし、過失であった場合は、債権者側でデータを整理して説明をすればすぐに支払いがあるのが一般的です。

また、債務者側のタイ人担当者の能力が本当に足りておらず、ミス、つまり過失から未払いになっているかのように見える(見せている)ケースもありますが、もし本当に担当者の能力に問題がある場合は他でも必ず問題を起こしていますし、会社のお金を扱うような重要な部署にずっと勤務できるわけがなく、長くとも半年以内に退職していきます。したがって、その担当者がそれなりに長期間勤続しているのであれば、それは支払いをしないための「演技」だと考えて問題ないでしょう。

【事例】
A社(債権者)はフリーペーパーを発行しており、B社(債務者)がそのフリーペーパーに公告を出稿しています。
契約期間は1年間で、支払いは毎月10000Bです。
※分かりやすくするために消費税や源泉徴収については省略しています。

6月から出稿開始で、6月1日に6月分の請求書が発行され、初回支払期日は6月末となっています。
しかし、6月末になっても支払いのないまま、7月1日に7月分の請求書が発行され、第2回支払期日は7月末となります。
そして、7月末にも支払いがないため8月1日3回目の請求書発行と同時に、「今までの2回分の支払いが無い」ことを連絡すると、8月5日に支払いが行われましたが、支払額は10000Bです。
その後、8月末にも「10000Bのみ」の支払いが行われますが、この時点で6月分(第1回)の支払い分が無いままです。

そして、未払いが残っていることを電話で伝えると「払った」との回答があります。その支払いは他の分であり、初回分がないことを伝えても埒が明きません。
面倒ですがA社で今までの支払状況をまとめた資料を作成し、支払いが抜けていることを伝えると、渋々支払いに応じ、やっと未回収がなくなったかと思うのもつかの間、その月末の支払いが無い、というようなことを繰り返すようなケースです。

あまりにフォローに時間がかかりすぎる場合は、早目に契約解除も考えたほうがいいケースもあるかもしれませんが、基本的にはこういった債務者は、契約が継続する限りにおいては、こちらからフォローを続けていくと回収が可能です。

しかし、このテクニックを使う債務者は、更にもうひとつ払わないテクニックを持っていますのでそれにも合わせて注意する必要があります。

それは、契約解除前数ヶ月の支払いを行わないというテクニックです。
ほぼ100%と言っていいほど、この払ったり、払わなかったりの最後には契約解除前の支払いを行わないおまけが付きますので予め心の準備をしておいたほうがいいです。
しかし、心の準備をいくらしていても、回避方法がないのが悔しいところではあります。

詳細は以下の記事もお読みください。
解約月(契約最終月)の直近の支払い数回分が無いケース